オウム真理教松本智津夫被告(44)=教祖名麻原彰晃=の主任弁護人で、強制執行妨害罪に問われ公判中の安田好弘被告(51)が昨年末に逮捕されて七カ月半。安田弁護士は無罪を主張しているが、弁護団の七度にわたる保釈請求は退けられ、今も拘置中だ。
 六、七月の二度の請求では東京地裁が保釈を許可したが、いずれも検察側抗告を受け東京高裁が逆転却下するという異例の展開に。死刑廃止運動や徹底した刑事弁護活動で有名な弁護士だけに、市民団体は「当局と対立する者へのリベンジ(復しゅう)だ」と反発を強めている。
                          さらに日弁連や各地の弁護士会からも「起訴事実を否認すれば保釈されない傾向が強まっており、安田弁護士はその象徴だ」と保釈を求める声明などが相次いでいる。
             弁護団は二十八日、八度目の保釈請求をする方針。地裁、高裁の判断が注目される。
 この間の保釈請求をめぐる展開は「普通じゃない」と弁護団関係者。確かに、高裁に保釈許可を覆された地裁が、わずか一カ月後に再び許可決定を出したことも異例なら、検察側が抗告理由で「被告には千二百人以上も弁護人がついているから、弁護人による証拠隠滅行為を防げない」との主張をしたことも異例。
 弁護団は「弁護人の活動を証拠隠滅工作だとでも言うのか」と猛反発、各地の弁護士から五百通を超える抗議書をまとめる一方で、弁護団約千二百人全員から「証拠隠滅はしません」との「あまりに当然で屈辱的な」(弁護団の一人)誓約書まで集めるという硬軟両様の作戦に出た。
 他方、安田弁護士の起訴、長期拘置が多数の弁護士らに与えたショックも大きい。「破たん会社の社長から相談を受ければ、当座のわずかな生活費を隠すことぐらい目をつぶる。それも形式上は強制執行妨害の共犯で立件可能になる」「やはり人権活動などで目立つからやられたのか」―。二十四日開かれた市民集会で海渡雄一弁護士は「安心して市民運動ができない国に変わりつつある」と訴えた。
                        司法当局も「アムネスティなどを通じ、海外で有名な人。人権侵害と言われないようにしないと」(高裁幹部)と気にしている様子。だが、保釈自体は「起訴事実が資産隠しという『隠滅事犯』だけに、保釈を認めない理由の『証拠隠滅の疑い』を退けにくいのも事実で、難しい面もあろう」としている。