安田弁護士の身柄拘束について



1998年12月14日


弁護人 渡辺 脩

同   石田 省三郎

同   尾嵜 裕

 安田弁護士は、12月6日、強制執行妨害の嫌疑があるとして、逮捕され、その後勾留されました。
 私たち弁護人は、かかる不当な措置について、安田弁護士の了解のもとに、弁護人の見解をここに明らかにしておきます。

 安田弁護士は、弁護人に対し、
「私は現在、いわれのない濡れ衣をきせられ、身柄を不当に拘束されています。
 私は、『いわゆる』賃料隠しについて、いかなる指示・指導もしたことはなく、本件は、警察・検察のデッチ上げ以外の何ものでもありません。
 私は、依頼者の正当な利益を擁護するため、全力を尽くしてきました。他人に違法行為を指示したり、また、他人の違法行為に加担することは、私の職業倫理と生き方に反します。」
と述べています。

 安田弁護士は、検察官による弁解録取や裁判官による勾留質問の機会にも、このことを述べるとともに、検察官の呼び出しがあれば、これに応じ、事実を余すところなく明らかにすることを約束し、また、同弁護士には罪証を隠滅するおそれや可能性はなく、もし仮に罪証隠滅の疑いがあるなら、その一つ一つに、納得のいく説明ができること、またそれでもなお、危惧感があるなら、これを払拭するに足る約束ができることも申し出ております。
 さらに、安田弁護士には、彼を必要とする多くの依頼者がいること、そして、その人たちを放っておくにはいかないことを説明し、直ちに釈放することを求めました。
 しかし、検察官は勾留を請求し、裁判官は勾留を決定し、裁判所は準抗告を棄却しました。これらはきわめて違法・不当な措置であり、およそ許されないことといわなくてはなりません。

 住宅金融債権管理機構は、安田弁護士を告発しました。しかし、同社の弁護士出身の幹部は、安田弁護士がこのような被疑事実を行うような弁護士ではないことを熟知しているはずです。少なくとも、安田弁護士を告発するなら、同弁護士から直接事実の説明を求めるべきでした。それこそ、公正を旨とする弁護士の基本であり、また古くからの友人としての信義であったはずです。
 しかも本件は、安田弁護士が、スン社の代理人として、住管と交渉し、具体的弁済案を提示、一部弁済を終え、さらに交渉を継続しようとしているさなかに立件された事案であることに鑑みれば、今回の告発は、きわめて不当なものといわなくてはなりません。

 安田弁護士は本件に関して、いかなる金銭も受領していません。警察は、安田弁護士が、4500万円を受領したとして、あたかも、本件に関係して、不正に金銭を受領したかのように宣伝しています。しかし、これは、平成3年春に解決した香港のホテルにかかる報酬であり、本件とは全く関係がありません。これも押収された関係証拠から明らかです。

 本件は、9月に安田弁護士の検挙に向けた、捜査が始まっています。安田弁護士の預金口座が、捜査当局に洗われ、10月には、安田弁護士の顧問先であるスン社の4人が検挙され、40日間余りの取調の結果、安田弁護士を検挙するに必要な証拠が作り上げられました。
 しかし、安田弁護士は、あくまで、スン社の会社再建に向けたアドバイスをしたもので、本件は、およそ強制執行妨害には該当しない事件であります。そうであるにもかかわらず、これを無理矢理、強制執行妨害であると仕立て上げて、安田弁護士の身柄を不当に拘束したものといわなくてはなりません。
 この逮捕は、ひとり安田弁護士のみならず、弁護士業務全般に対する不当な介入の象徴と言っても過言ではありません。
 本件は冤罪であり、安田弁護士に対する身柄拘束はいわれのないものです。
 民主主義を標榜する日本の中にあっても、なお、このように良心の囚人が作り上げられようとしています。
 私たち弁護人は、直ちに安田弁護士を釈放することを強く求めるものであります。