争 点 |
a 検察官 賃料振り替え論=仮装行為説 S社は、多額の負債を抱え、返済が困難な状況にあった。収入は、賃料。賃料債権を差押さえられると、給与が支払えなくなる。そこで、賃料の振込口座を替えるために、S社から実体のない会社に賃貸人が代わったように見せかけて、差押さえを妨害した。 |
b 被告人・弁護人 分社サブリース論=真実行為説 従業員を移籍させるための分社を目的としたサブリース方式(転貸を予定した一括賃貸)による賃貸人の変更である。安田弁護士の助言内容は、賃料債権に対する差押さえを免れるためのものでもないし、仮装の行為でもない。 |
(第1回公判) | (現在) | |
検察側請求証拠 | 99点 | 288点 |
弁護人請求証拠 | 0点 | 121点 |
(正規の退職金) | (分配した金) | |
S主任 | 2080万円 | 4900万円 |
Y 子 | 1405万円 | 4000万円 |
その他 | 1038万円 | 3000万円 |
738万円 | 2000万円 |
「もう本当にめちゃくちゃな経理で、……もうこんな道理に合わないこと、もうやりたくない、もう辞めたい」というような調子でお話になりました。
「例えにしますと、他人の財布からお金を取って入れるということだと思います。そんことあってはならないと思っていました。」これ何をいいたかったかと言いますと、それまでS社に賃料が入っていたのですが、賃貸人を変更してA社に入ることになりました。しかしA社に入ったお金はS社の口座にもう一回入れる、還元するか、あるいはA社の口座から下ろして使っていい、そういう行為というのは人の財布からお金を取って入れるのと同じだ、そんな事はあってはならないと思っていたということですから、この方は良い悪いは正しく判断できる能力を持っていたということなんです。
「2億1000万については、私自身、労働者の立場として確保したのは、これは当然の権利だと思ってます」えー、素晴らしいご見解だと私は思ったのですが、皆さんいろんな会社に勤めていて、最近景気が悪いですから給料の支払いが遅れたりしたケースを考えていただきたい。社長が給料をなかなか払ってくれない。それで社長の家にこっそり忍び込んで家の箪笥から自分の給料分をそっくり頂いてきた。これは普通住居侵入窃盗という犯罪になるんですが、このY子さんのお考えによりますと労働者の立場として確保したんですから当然の権利となるわけです。ここまで開き直れるのはたいしたもんだなと思います。