1999年2月5日

安田好弘弁護士の弁護人への就任のお願い

弁護団団長 弁護士 土屋 公献        

主任弁護人 弁護士 石田 省三郎       

弁護人                    

弁護士 尾嵜 裕   弁護士 渡辺 脩    

弁護士 藤沢 抱一  弁護士 芳永 克彦   

弁護士 成田 茂   弁護士 喜田村 洋一  

弁護士 村岡 啓一  弁護士 田鎖 麻衣子  

弁護士 長谷川 純  弁護士 込山 和人   

弁護士 前田 裕司              

  1. 皆さんもご承知のとおり、安田好弘弁護士は平成10年12月25日、東京地方裁判所に強制執行妨害罪で起訴されました。公訴事実は、安田弁護士は有限会社スンーズエンタープライズの取締役らと共謀のうえ、賃料債権等に対する強制執行を免れる目的で、実体のない会社が賃貸人の地位を取得したように装い、各賃貸人に対し賃料等を右会社名義の普通預金口座に振り込むように指示しこれを実行させ、よって有限会社スンーズエンタープライズの財産を隠匿したというものです。

  2. 安田弁護士は有限会社スンーズエンタープライズの取締役に対し、上記のような指示を与えた事実はありません。
     安田弁護士は有限会社スンーズエンタープライズから、債務超過状態の不動産所有会社の経営方針について相談を受け、これに真摯に対応し、不動産所有会社単体として継続することは無理であるが、不動産賃貸部門を分離して業務を継続することは可能であることを提案し、その方法を教示しました。
     安田弁護士の提案した方針は、債務超過の会社の延命手段の一つの方法として法的に許容される範囲内のものであり、何ら非難されるべきものではありません。

  3. 現在既に安田弁護団が結成され、弁護団長を土屋公献弁護士が引き受け、石田省三郎弁護士を主任として合計13名の弁護士が安田弁護士の弁護人に就任しております。安田弁護士の実質的弁護活動はこの13名で担うことになりました。ところで、今回安田弁護士弁護団は更に広く弁護団を拡張し、本件事件について弁護士の皆さんに幅広いご支援をお願いすることとしました。
    安田弁護士に対する支援の広がりを裁判所に理解してもらう必要があると共に、今回の事件が安田弁護士個人の問題だけではなく、弁護士であれば必然的に関わらざるをえない以下の問題を含んでいると考えるからです。

    (1) 弁護士が、債務超過状態にあり強制執行が予想される不動産所有会社の経営について法的助言を求められた場合、この弁護士はどこまでの法的助言を行うことができるのかという、重大かつ普遍的な問題が本件事件の土台となっている。
    (2) 安田弁護士は、オウム真理教の麻原彰晃被告人の国選弁護人に加わって主任弁護人を務めており、麻原被告人の人権を擁護する弁護活動を続けているが、麻原弁護団の活動が必ずしも裁判所、検察、警察、マスコミの理解するところとなっていず、このことが、今回の事件の大きな要因の一つとなっている。
    (3) 安田弁護士は、警察からの任意出頭に応じ、捜査に協力しているにもかかわらず、逮捕、勾留され、保釈請求もすべて却下され、上記麻原事件を含むすべての弁護士活動を停止せざるを得なくなっている。
    (4) 弁護士が、警察・検察から事件の説明を求められた場合、弁護士は事件の依頼者を守り、守秘義務を履行することと、自己の行動の弁解をすることとの間で矛盾した立場が生じ、深いジレンマに悩むこととなる。

  4. 安田弁護士は、謙虚で清廉潔白な人柄、人を組織する実行力、綿密で粘り強い献身的な弁護活動などの点で多くの人々に敬愛されてきました。また死刑制度撤廃の為の活動など困難かつ無私の活動を地道に続けてきました。私達は、弁護士の総力を挙げて、安田弁護士の弁護活動に取組み、安田弁護士の無罪と早期釈放を克ち取らなければなりません。その為に、弁護団を広く呼びかけ、皆さんに、幅広いご支援をお願いすることとしました。どうか、安田弁護士の弁護人となっていただくよう、深くお願いいたします。

  5. 別紙の回答用紙を送付致しましたので、弁護人になっていただくことに承諾頂いた弁護士の方は、これに所定事項を記入していただき、安田弁護団事務局までFAXでご連絡をしていただくようお願い致します。またこれと同時に弁護人となっていただいた方には、所定の弁護人選任届用紙を送付しておりますので、これに署名捺印し安田弁護団事務局まで郵送して下さい。弁護団から裁判所に提出いたします。また、公判内容についてできるだけ詳細な報告書をお送りいたします。

以上